対人関係の問題を解決するためにも、まえに述べたような吉方・凶方の考えがあくまでも基本になります。

まず、すでに相手がきまっている場合、おたがいにじっくりいかない仲をよくしようと思うようなときには、まず地図と磁石を使って、相手の家や職場が、自分の家や職場からどっちの方にあるかたしかめてください。

かりに向こうの家があなたの家から見て、北の方向にあると仮定しましょう。このときは、九星盤を見て北が吉方になっている四緑、五黄、七赤の日を選んで働きかけるのです。同じ職場にいる人間なら、この日にお茶でも飲みに行こうとさそってもいいのです。

一度では効きめがあらわれないかもしれませんが、それを何度かくりかえしているうちには、かならず効呆があらわれてきます。ただし、こういう最初の働きかけを九紫の日にやったりしたら、えらい逆効果があらわれます。 その理由は、九星盤を見ればかんたんにおわかりでしょう。

つぎに、対人関係の場合には、相手の選び方も重要な問題になってきます。吉方を選べば、良い相手にめぐりあえることはまちがいないのですが、吉方によってあらわれてくる相手の性格もそれぞれかわってきます。あとの説明をよく吟味して行動してください。

この星生まれの人は、人あたりがよく、万事につけて無理をしないほうですから、対人閲係ではあんまりまちがいを起こしませんが、ただ凶方からあらわれてくる相手にはよく気をつけてください。だいたい、この星生まれの人は受身なところが強く、人の言葉はすなおに聞くほうですから、相手がたちの悪い人問だと、おだてられたり、自分が好意から面倒をみてやったときに、だまされたり、裏切られることも少なくないのです。まあ、この星の人は、そういうときの被害は少ないほうですが、マイナスにはちがいありませんし、できるなら、事前に避けるにこしたことはありますまい。

私の知合いに四緑生まれの未亡人がいました。かなりの遺産を持っていて、不自由のない暮らしをしていましたが、遊んでいてはお金が減るばかりだし、マンション投資をしようと思うがどうだろうと、私に相談をもちかけてきたのです。

なんでも、その人の友だちが、その方法で利益をあげている、できあがったマンションを担保にとるのだし、その部屋を又貸しして配当をもらうのだから、貸家を建てて、家賃をとるのと同じことだというのです。その友だちというのも、信用できる人で、嘘をつくような性格ではないというのですが、その住居が本人の家から見て、本命殺の方位に当たっているというのが、私には気になってしかたがありませんでした。おまけに、そのマンション投資会社というのは、五黄殺の方位になっているのです。

「まあ、やめたほうが無難じゃないですか。」

と、私は忠告したのですが、この人はいかにも不平顔でした。

ところが、最近になって、そのマンション投資会社が倒産したというニュースが大きく報じられました。いったい、あのときの話はどうなったかと思って、私はその未亡人に電話をかけてみたのですが「五十万ほどやられましたわ……でも、いい勉強をしたと思ってあきらめていますの。」というのがその返事でした。

おそらく、この人にこういうマンション投資をすすめた友だちというのも、けっして悪意はなかったと思います。

自分も相手にだまされた被害者の一人にちがいなかったでしょう。しかし、善人が善意の行動をしたところで、その結果が悪くなることは、人生には珍しくもありません。要は無用の災雌をできるだけ回避することでしょう。

この未亡人にしたところで、方位学の正しい知識があったら、こういう投資の損害は避けられたかもしれません。その点で、私はもっと強くとめればよかったという後悔も起こるのですが、それで全部の財産を一度にふっとばしたわけではなく、ちょっと高い授菜料でしたと笑っていられる程度のマイナスで食いとめられたのは、まえに説明したような四緑生まれの人の特長のあらわれだったにちがいありません。

話は脇道にそれましたが、つぎに一白の星のいる方角からあらわれる相手は、あなたの先輩格に当たる人が多いでしょう。実力や地位も持っており、あなたが誠意を見せさえすれば、なにかにつけてあなたを引き立ててくれるでしょう。仕事のうえばかりではなく、人生問題についても、親身になって相談にのってくれるでしょうから、あなたが何か困ったことがあったら、まずこの吉方にいる知合いを思い出してみてください。かならず、あの人ならと思い当たる相手がいるはずです。

三碧の星のいる方角からあらわれる相手は、あなたとは同輩格で、年頃や地位、揺味などでも共通するようなところが少なくないでしょう。それでいて、人生の裏の知恵ということにかけては、あなたより一まわりも二まわりもすぐれたものを持っています。遊び友だちとしてつきあっているだけでも、この相手はあなたにとってたいへんなプラスでしょう。交際が広く、あなたに何人かの友人を紹介してくれるでしょうが、その二次的に生まれる友人が、またあなたにたいヘんなプラスを生じてくれるのです。

九紫の星のいる方角からあらわれる相手は、あなたの後援者といった感じが強いでしょう。いろいろな意味で、あなたに刺激を与えるでしょうが、それは結局、あなたのなかに眠っているかくれた力を目覚めさせ、あなたを大きく成長させることに役立ってくるのです。

あなたが女性だったなら、この吉方にいる友人はとくにだいじにしてください。直接目に見えるブラスだけではなく、先へ行けば行くほど、大きなブラスがあらわれます。結婚してからも、夫や子どもの問題で、いろいろと知恵や力を借りるようなことも何度か起きるはずです。

 

◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎