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キーワード:誠実

中孚。豚魚吉。利渉大川。利貞。

中孚は、豚魚吉。大川を渉るに利し、貞しきに利し。

 

 

〔大意〕この卦は吉の卦です。本文には「中孚は、豚魚にして吉なり」とあります。中学(ちゅうふ)とは心の中に誠のあること。誠は他人に対してだけでありません。自分に対しての忠実ということも他人同様、ときにはそれ以上に大切です。

「正しい人には何の害悪もおよばない」とマーフィー博士はいいます。これは潜在意識がもっとも良く機能する状態だからです。この卦の出たときは、自分の楽しみごとやの利益を考える前に、家族や周囲の人間のことを考えるべきです。

そうすることによって心の平安が得られ、それが結果的にあなた自身に吉をもたらすことになるからです。あなたは自分の計画や自分の願望を放棄する必要はありません。それは確実に前進するでしょう。しかし、あなたの目には遅々として進んでいないように見えるかも知れません。

そういうときにアセリが出る。多くの人が陥るのは、自分が良くなってから人に・・・という考え方です。こういう考え方は確かに理屈の上ではもっともらしいが、そのためにたとえ一時的であれ、不誠実を働いたのでは何もなりません。そのような態度で得た成功実は見せかけのもので、結局は失敗の結果になりかねない。いまは自分の心を静かに落ち着けて他人のために考えるべきです。

潜在意識はごまかしがききません。自己を偽ることでごまかせるのは顕在意識です。れを自己欺朧といいます。自己欺睛は多くの人が陥っているわなです。あなたはもう自分の心を点検してみる必要があります。

他人の幸福を本当に願っているかを自分の聞いてみてください。そこでイエスの答が得られれば、あなたは自分の人生が順調にことを確信していいでしょう。

 

◎運勢 表面のみよくて内実の伴わないときであるから物欲を持って事に当たりやすい。また、内に秘密を蔵しやすく、異性間の間違いも起こりやすい。しかし何事にも至誠をもって行動すれば、やがて実質を生み好調を得ることができる。

◎願望 孚の通らないことはないので、真実を貫けば必ず通達を得る。

◎事業 実質の少ない時であり、手形・証書の間違いも起こりやすいから無理は禁物である。旧体の中で小利に甘んじ誠意をもって努力を続ければ、やがて好機が訪れてくる。

◎結婚 上下和合の意から良占とみる。

◎交渉事 誠意をもってすれば成功するが、必要以上の物欲をもってすれば破れる。

◎家出人 異性関係が原因だが安否はそれほど心配することはなくやがて居所も判明する。

◎待ち人 兌口、向かい合う象で希望通りになる。

◎病気 呼吸器系・心臓病が多く、急に大熱を発するとみることもある。なお重病人には危険な占でもある。

 

◎初9:目に見える財産とか証書を信用してはいけない。

初九。虞吉。有它不燕

初九。虞れば吉。它有れば燕からず。

人・物・事すべてに学誠をもって疑わず、真実一路で貫けば、信頼を得て発展していくという占である。

 

◎二9:あなたが楽しいとき、幸運はあなたに引きつけられている。

九二。鳴鶴在陰。其子和之。我有好爵。吾興爾靡之。

九二。鳴鶴陰に在り。其の子之に和す。吾に好爵有り、吾、爾と之を靡にせん。

人の協力を得て平穏無事を保つ時だが、内面が空虚なので物質的にはやや不足の嫌いがある。人と至誠をもって親しんでいけばさらに発展して幸を得る。

 

◎三6:何もかもほしがってはならない。

六三。得敵。或鼓或罷。或泣或歌。

六三。敵を得て、或いは鼓し、或いは罷め、或いは泣き、或いは歌う。

この交を得た時は、兌の「毀折」という点を第一眼目とし、その原因は不正で内卦の過におり、そして不正同志で上九と応じているためであるから、環境の悪さと分不相応に過ぎることが災すると判断していけばよい。

 

◎四6:心を静かに保ちなさい。

象曰。馬匹亡。絶類上也。

象に曰く、馬匹亡うと、類を絶ちて上るなり。

開運の時で思い通りに事が運ぶとみるが、何ごとにも小を捨てて大に生きるように心がければ、さらに吉兆を増大させていく。

 

◎五9:自分がしてもらいたいと思うことを人にしなさい。

九五。有学攣如。无咎。

九五。学有りて攣如たり。咎无し。

運気など順調で周囲から大いに信頼を得る時である。ただし中孚という卦は物質的にそれほど恵まれる卦ではないので精神的に安定を得る程度と見るべきである。

 

◎上9:不平、不満は一言も口にしてはいけない。

 

上九。翰音登于天。貞凶。

上九。翰音天に登る。貞しけれども凶。

実質が伴わないために失敗を招きやすい。分相応に節度(伏卦水沢節)を守って自らを控え目にすれば、災い転じて福となす可能性もある。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)を参照しています。