◇心理学者ユングの易解釈

易は東洋に生まれたものであり、現代でもわが国では易占いが盛んですが、西洋人はれをどう見ているのでしょうか。マーフィー博士が易に興味を抱き、研究したのは例外でしょうか。

そんなことはありません。フロイトと同時代のスイスの精神分析学者で内向性、外向の人間類型論で著名なカール・ユング博士も易の大家として知られています。

彼はドイツの中国学者リヒャルト・ウイルヘルムが翻訳した『易経』に序文を寄せてますが、その中で「わたし自身もこの占いの方法が心理学的にみて重要なものであるとったので、易の占いを試みていたのであった」と述べています。

ユング博士とウイルヘルムは交友があり、あるときユング家を訪問したウイルヘルム彼はいろいろな質問をし、 易を立てさせました。そこで出された問題は、ユング博士自はよく知っていて、ウイルヘルムはまったく知らされていない内容のものでした。

だが、このとぎウイルヘルムが易占いによって得た回答は驚くほど正確なもので、しかもこのときウイルヘルムはユング博士が想像もつかないような未来予測をし、それは後見事に的中したといいます。こうした体験と自分自身の研究によってユング博士は易にいて次のようにいっています。

「易が当たると、 んなことは偶然だという人がいるが、易に限らず、われわれは一般に予測できない出来事を言い当てたりすると、しばしば『偶然』という言葉を使う。だがフロイトも言っているように、言いまちがい、読み誤り、失念といった現象すらも決し偶然におこるわけではない。

易の的中がまぐれ当たりだという意見に、わたしは反対でる。それどころか、わたしが経験した易の的中率は、偶然の蓋然性をはるかにこえている。易において問題になるのは、偶然性ではなく規則性であることをわたしは確信している

易は「まじない」やたんなる推論ではない。そこには四千年以上の人間の知恵の集積あるのです。それはすぐれて心理学的根拠があるといっていいでしょう。精神分析の大であったユングは、するどくそれを見抜いていたといえるのではないでしょうか。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)