人に好意を持たれたり、敬意を払われるには、人の評価に対して相応の言動が伴うことが必要になり、人に好意を持たれればおのずと仲間や協力者が増えることになる。
社会的地位とか名誉が人から与えられるものである以上、人に好意を持たれることは、有名になったり、社会的地位とか名誉を得るための重要な要素の一つであると考えられる。
四柱推命の発祥の地である中国では、長く封建時代が続き、科挙という官吏の登用試験に合格することが唯一の出世の道であった。そうした時代的背景の中で発展した四柱推命では、官殺を社会的地位を見る視点として重視している。しかし、官殺=社会的地位とこれ一辺倒であったため、古書中に多くの誤解やこじつけとも言えるような内容を散見することができる。官殺は社会的地位に関連する部分はあるが、官殺だけで社会的地位を論じることは誤りであると言える。
では、どのように見ればよいかであるが、人にどのように評価されているかを察知する能力は財の作用に関与する。その評価に見合うような形に、ある意味での自己規制をすることのできる能力は官殺に関与する。これはごく基本的な視点でしかないが、財と官殺が良好な作用を発揮するなら、人に好意を持たれ、結果として出世して、社会的地位とか名誉を獲得することにつながることになるのである。
仕事ができ、人から一目置かれるようであっても、会社勤めの場合、敵が多ければなかなか出世はできないことになる。つまり、財と官殺の作用が良好であれば、敵を作るようなことがなく、その人の社会生活上で行なったことに対して相応な評価を得られることになるのである。
日干が強である場合、官殺が日干を剋して弱める作用は原則的には良好な事象につながるはずである。しかし、印が日干に隣接していると、官殺は印を生じ、印はまた日干を強めることになるため、官殺は不良な作用を発揮することになる。このような五行の関連が発生する命運である場合、人から好意を示されたり、敬意を払われたりすると、勘違いをしたり、のぼせ上がったりして、結果的に顰蹙(ひんしゅく)をかうような行動をとることになりがちである。なお、日干が陽干の場合は、陰干の官殺が日干に隣接しても日干を剋して弱めることができないので、官殺としての良好な作用は期待できないことになる。
日干が弱いのに官殺が日干を剋してさらに弱める場合は、自分の考えを抑え過ぎたり、過小評価したり、引っ込み思案であったり、腰が低過ぎて人から低く見られることになってしまったり、 他人の評価をやたらに気にしたり、期待に応えようと身構え過ぎたりすることになる。あるいは周りの人から能力以上の期待をかけられ、その重荷に耐えられず、精神的に疲れ切ってしまうことにもなる。
つまり、良好な大運を長く巡るなら、通変の良好な作用が継続的に発揮されることになり、徐々に出憔し、それに伴い経済的に豊かになっていくことができるのである。社会的地位と言えるほどのものを得るためには、社会的に活躍できる年齢期に、短くとも20年、30年間にわたって、良好な大運が巡ることが必要になるのである。
また、食傷も官殺も日干を弱める働きがあるが、食傷が官殺を剋し、官殺が日干を剋す作用を阻害することがある。こうした場合、日干が強であるなら、人の期待を踏みにじるような言動を起こすことにつながり、結果的に人に嫌われ、また社会的地位も伴わないことになる。日干が弱である場合、日干に食傷に洩らすだけの力量的な余裕があるなら、食傷が官殺を剋すことが、官殺の剋から日干を護ることになるため、良好な事象を発生することになり、事象としては自身の言動が道を切り拓いて行くきっかけになるのである。しかし、日干が弱過ぎ、食傷に洩らすだけの力最的な余裕がない場合には、古書に「剋洩交加」と言われている状態になり、ただでさえ弱い日干は、剋と洩の両方の作用を受けて耐えられないことになってしまう。
このように食傷と官殺によって日干が弱められる場合、神経をすり減らすような状況に陥り、精神的に苦しい状態になってしまうことになるのである。
また、相手に対する気遣いが行き届き、性格的に明るいことは、人に好印象を与える一つの要因となるが、この作用は財に関わることになる。日干に隣接する位置に財があり、大運も良好であるなら、人に好かれ、結果的に友人も多くなる。友人は比劫で見るという説があるが、誤りである。また、財の良好な作用は、目標とか目的を設定して、その実現に向かって努力するという、社会生活を営む上で好ましい行動パターンにも関わることになる。
しかし、財の作用が不良であると、人の顔色をうかがい、意に反することであっても相づちを打って、心と裏腹に笑顔を絶やさないようなことになる。また、利害に敏感であるがため、調子がよ い、要領がよい、ということにもなり、度を過ぎると、強引であるとか、欲しいものを手に入れるのに手段を選ばないということにもなり、人の反感を招く原因となることもあるのである。
中には、一言のお世辞も言わず、愛嬌のひとかけらもなく、真面目と評される人もいる。真面目という言い方には、よい意味のみではなく、マイナスの意味が込められることがあり、例えば四角四面で面白味がない、あるいは冗談が通じない、といった使われ方もある。こうした性格は、日干に隣接する位置に財がない人の特質となる。財がない人は、利害を度外視して行動するようなところがあり、そのことがボランティア活動のようなことにつながることがあるが、気難しいと人に感じさせることになりやすい。したがってちょっと世間が住みづらいということにもなるが、こうした性格であるがため、人から信用を得たりすることもある。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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