以上、『シオン長老の議定書』が偽書ではないとする立場から、現在の形になるまでの時代背景と先駆的形態が出現した経緯をユースタス・マリンズの「カナンの呪い」の記述に沿いながら要約的に解説したが、読者は『議定書』そのものを曇りない目でじっくりと読んで自分自身で判断してほしい。「偽書」であると決めつけて「焚書」にしてしまったのでは、判断のしようもない。『議定書』の成立経緯もその背景も確かに重要であるが、要はその内容が現代に通用するか否かにかかっている。多くの人に思い当たる節があると感じられるような例を二つだけ挙げておこう。

〇「第十議定」の「ユダヤの世界王」の項
ここで『議定書』は、世界統一政府の樹立のためには、民衆を常に不幸に陥れて、対策を講ずべき政府の無能と民衆との不和を煽り立てる、そしてユダヤの金を借りてその支配下に入る
ほかに手段を無くす、と述べているが、わが国における戦後の流れを顧みると、五五年体制を担ってきた自民党政権の終焉も民主党の政権交替もそれを主導したのはマスコミであるが、実際に実現してみれば、政治家がますます小粒になっていると誰しもが感じる結果を残している。こうした不幸な事態は、『議定書』が求めるところの「政府と人民との関係を絶えず攪乱して」政府の無能と民衆との不和をことさらにマスコミが煽り立てる、という図式そのものではないのか。
また、平成二三年三月――日に起きた東日本大震災は天災であるとしても、福島第一原発の事故は紛れもなく人災だった。そもそも、読売新聞で原子力こそ「未来の夢のエネルギー」との一大キャンペーンを張った正力松太郎の政治的野望を奇貨として、わが国が自発的に原発を導入するように仕向けたのは、原油もウランも一手に握る世界寡頭支配勢力であって、解決の糸口さえ見えぬ原発事故は、民衆を絶えず不幸に陥れて政府の無能を際立たせ、民衆がみずから世界統一政府を仰望するように導く、という「第十議定」を実現させるための巨大なる一歩だったのではないかとの疑いを私は捨てきれない。
[定本]『シオンの議定書』四王天延孝原訳 天童竺丸補訳・解説 成甲書房
昭和十六年(一九四一年)刊「猶太思想及運動」附録第三「シオンの議定書」を底本とした。
http://michi01.com/index.html