以上説明した、二つの見方をもとに、次の図にしたがって「旺の逆転」の方法を四柱八字に適用することになる。
図の一番上の「START」から始め、菱形の中にある条件に合うなら、「YES」に進み、条件に合わないのなら、「No」のほうに進む。そして、最下部にたどり着いたなら、そこに述べられている例文が、その四柱八字に適用する「旺の逆転」の方法となる。最終的な適用の仕方は、図中にある①②③の3通りになる。

①は、年月の蔵干を剋する干に逆転させる。
②は、年月の蔵干が剋する干に逆転させる。
③は、変化なし。つまり、暦のもともとの蔵干のままで旺の逆転はない。

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「旺の逆転」の方法では、旺じる五行を示す月支の蔵干だけでなく、年支の蔵干も同時に逆転させることになる。理由は、既述のように干支暦では年月の干支が、構成上一体になっているからである。
なお、「旺の逆転」は、四柱八字にのみ適用する方法である。大運は、「旺の逆転」を適用する前の、もとの四柱八字の月干支から出さなければならない。
また、旺の逆転の処理は、古来よりの格局に替わる方法であり、具体的事象を見るための前段階の作業であるので、「旺の逆転」の処理が終わったなら、暦から出した元の四柱八字はまったく不要になる。
このように、四柱八字の旺を逆転させるなどという方法は、到底受け入れがたいことと考える方もいらっしゃるかも知れないが、中国の古書に類似した記述を見ることができる。例えば、「滴天髄闊微」の「衰旺」の中に、
有顛倒之理存焉。其理有十。木太旺者而似金。喜火之錬也。………
〈転倒の理があるのではないかと思われることがある。その理は十ある。木が太旺であるのは金に似て、火の鍛錬を喜ぶ。………〉
とあり、木が強いと、あたかも金のように振る舞うと言われているのである。
先賢の中にも、実際の事象と照らし合わせ、五行が転倒しているのではないか、という思いを抱いた人はいたのである。しかし、何となく気がついてはいても、それから先に論議を進めた人は、現在に至るまで誰ひとりいなかったのである。

「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より